
- コンセプトにピタッと合致した特徴的な造形表現であり、目の付け所に一般的な椅子とは異なる新鮮さを感じる。コンセプトが明快で、ある意味では各論的かもしれないが、その解決法がはっきりとしているところからこの新しいデザインが生まれたという気がする。(川上)
- 使い方を限定して、その状況で使うためという形で生まれたデザインが最高賞に選ばれたというのは珍しいことだと思う。チェロを弾くという特定の使い方を考えた結果のものであるが、椅子というものが持っている味わいが込められていながらシンプルに仕上がっていて新鮮に見える。ちょっと座る椅子としてこれで充分機能するのだということを審査員一同も実感しての選出である。(深澤)
- モノをデザインするときにコンセプトがいかに大切かということが見事に表現されている。椅子の目的と機能というものが集約されている。これは座の奥行きが1/2だが、それを2/3あるいは1/1のフルスケールにする、高さを変えてバータイプにするなど発展させることも可能で、優れたデザインの要件の一つであるバリエーションという観点でも広がりのある作品だと思う。(織田)
- デザインのコンセプトがとても斬新である。その名の通り、この椅子は2脚で標準的な椅子1脚分程度の材料しか使わない構成であるため、環境保全の観点からエコであり経済的とも言える。(ユン)

時に人々は椅子にもたれかかるようになり、その際、椅子の背板と座板の間に背骨を突っ張り姿勢を保とうとすることが、筋骨格に負担を与えることへと繋がる。そのリスクはこの椅子のように座面の前半分を取り除くことによって、単純に防ぐことができる、大きさが半分の座面でも十分に座骨を支え、正しい姿勢で読み書きや食事など椅子を使った様々な作業に、またより姿勢に重要性が求められる楽器演奏などに向く。
この椅子の形状と構造は、狭い座面形状と座る姿勢に与える影響を考慮した上で再調整されている。このデザインは材料の有効利用、またスタッキングするとコンパクトに収まる機能性などの利点がある。

チョン・ウジン
Woojin Chung
韓国
1976年生まれ | |
これまでに建築・産業デザイン・家具製作を学ぶ。 | |
2008 | Högskolan för Design och Konsthantverk 卒業 |
2011 | Aalto University, School of Art and Design 卒業予定 |
受賞歴 |
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2008 | iF concept award 佳作 |
2009 | Rolf Åsard 賞 |